五井野正 博士ファン倶楽部  浮世絵と印象派を通して学ぶ自然世界

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19世紀末を踊る女『サロメ』を舞う                    ダンサーのロイ・フラーとパリの浮世絵師・ロートレック

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( 上段4枚の映像は、アメリカのダンサーであるロイ・フラーのようですが、調べてゆくとそうでない可能性?!もありますが、それでもロイ・フラ-的ダンスを顕しています。また、下段2枚の絵画は、そのロイ・フラーを描いたロートレックの絵画です。一番下の映像は、ロイ・フラーダンスということで、リメイク版であると思われます。少し過激な曲もありますが、19世紀末から20世紀にかけて、これまでのキリスト教倫理の文化とは違う世界がサロメに始まるロイ・フラーの舞踊のファツション・モードから生まれてきたと思われます。)

◆ 昨年、五井野正博士の芸術論講義の中で、黄色い服を着るサロメの舞踊のファツションが、ヨーロッパの服飾やファツションに大きな影響を与えたという僅かなコメントを聞いてとても驚いてしまったのです。と言うのは、実はこの『サロメ』と言う女性は、新約聖書やユダヤの歴史書の中で言及されている女性で、それも預言者ヨハネの首を求めた女性として、一般的には悪女とか妖女のような存在として扱われていて、ヘロデ大王の前で『七つのヴェールの舞踊』を舞う代償として預言者ヨハネの首を求めた女性とされているからです。


( サロメを描いたモローの『出現』)

◆ そしてそのような女性であるサロメが19世紀末に、オスカー・ワイルドが画家のモローの描いた『サロメ』のイメージ像の影響を受けて戯曲として描いた『サロメ』の小説が世紀末には『宿命の女、運命の女』ということでサロメ・ブームがヨーロッパで起こり、それが美術や文学の世界に留まらず、サロメの脚本が舞台化されて演劇化されていったのです。しかし、このサロメがユダヤ人の女性で、妖女でもあるような女性を演劇と言う形での上演をオスカー・ワイルドの故郷であるイギリスでは認可されず、結局オスカー・ワイルドのサロメを始めに公演したのは、フランスのパリであったです。


(イギリスの作家・オスカー・ワイルド)

◆ その時にオスカー・ワイルドの脚本では、サロメの舞踊でもある七つのヴェールの舞踊については、何もコメントや指示もありませんでしたが、様々な人々がこの七つのヴェールの舞踊についてそのダンスの形態を考えて、本当はフランスの女優であり娼婦でもあり、ユダヤ人女性であった『サラ・ベルナール』にサロメを踊ってほしいという説も流れたりしましたが、始めにフランスで始めて『サロメ』を演じた女性が、アメリカ人のダンサーであった上記のロイ・フラーという女性なのです。


(上記もモローの舞踊するサロメ)

◆ ロイ・フラーと言うダンサーについては、あまり詳しい資料がネットで検索してもないのですが、『ロイ・フラーに関する一考察』と言う東京学芸大学の紀要に秋葉尋子氏の論文として掲載されていましたので、ロイ・フラーについて詳しく知るための貴重な手がかりとなると思われます。また氏には、同紀要に『モダンダンスにおけるフェミニズムとジャポニスムの影響について:1900年のパリ万国博を中心として』と言う論文があり、その中でもロイ・フラーについて詳しく考察されているようです。

ロイ・フラーに関する一考察・秋葉尋子氏
http://ir.u-gakugei.ac.jp/bitstream/2309/107155/1/18804349_61_09.pdf#search='%E3%82%B5%E3%83%AD%E3%83%A1+%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%BC'

◆ 上記、三枚の映像は、パリで公演された時のロイ・フラーの貴重なダンスの記録フィルムであると思われますが、音声が入っているものは、音声だけをアレンジして後で入れたものと思われますが、19世紀末のヨーロッパのフランスのパリで上演された映像なのです。印象派による社会運動が始まったパリの社会の中で、まだカトリック教会によるキリスト教倫理が影響している社会の中で、このような舞踊がパリで上演されたということは、すごいことであると思われます。

◆ それはある意味で、その頃にはカトリック教会の戒律による芸術・文化に対する強制力が崩壊して、人々が進歩的で自由な表現による芸術活動を受け入れ始めたことが、パリでのサロメの上演に繋がっていったと思えてなりません。何故ならカトリック教会の戒律の世界では、このようなサロメの上演は許されず、異端審問や魔女狩りの対象となってしまうことでしょうから。

◆ サロメがイギリスで許可されずフランスで上演されたということは、フランスには印象派による社会改革が進んできた証でもあると思われます。それにロイ・フラーの舞踊の姿を見ていると、キリスト教以前のヨーロッパの自然の世界に住んでいた妖精の世界が、ジャポニスムの影響で蘇り具現化したように思えてくるのです。

◆ そしてそのロイ・フラーのダンスがパリで上演をしている時に、そのロイ・フラーというダンサーの絵を描いていた画家であり、フランスのパリの浮世絵師が、ロートレックでもあるわけです。下段の二枚の絵画はロートレックが描いたロイ・フラーのダンスの姿です。ロートレックは、ムーラン・ルージュでも様々な踊り子達を描いていますが、サロメを演じたロイ・フラーも描いており、そのロイ・フラーのダンスの映像記録がこうして残っているわけですから、この映像を見てロートレックの絵画を見ていると、ロートレックもこのようなロイ・フラーの姿を見ていたのだと実感してくるのです。

◆ 唯、ロイ・フラー(1862年~1928年)のサロメの初演(1907年)は、ロートレックが亡くなった後(1901年36歳没)の出来事であるので、ロートレックは、ロイ・フラーのサロメは見ていないと思います。またロートレックは、パリに逃避行をしていたオスカー・ワイルドとも会見しており、ワイルド自身の許可はでませんでしたが、彼の肖像画を描いています。
サロメの悲劇
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%81%AE%E6%82%B2%E5%8A%87


(オスカー・ワイルドの肖像画)

◆ またこのロイ・フラーの蝶のような舞踊については、ロイ・フラー自身が日本の着物の形態からヒントを得て自ら創作したものと述べており、ジャポニスムの影響がロイ・フラーのこのようなダンスの形態の中にも取り込まれているようなのです。そしてこのようなロイ・フラーのファツション感覚が、その後の服飾やファツションの世界に大きな影響を与えたようです。

◆ それは、カトリック教会の戒律に支配されてきたヨーロッパの社会が、ジャポニスムによって色彩感覚が解放されて、それが最後にはロイ・フラーから始まるサロメの七つのヴェールを纏う舞踊によって、カトリック教会の戒律の世界から解放された新しい服飾やファツション・モードの世界がパリから発信された原点となったのではないかと思われてなりません。

◆ そして改めて感じることは、新約聖書やキリスト教の世界では、サロメとは、預言者ヨハネを首を求めた悪女・妖女の扱いを受けていますが、19世紀になって、そのようなサロメが、サロメのシンボルである七つのヴェールの舞踊が、反対にロイ・フラーのモダン・ダンスによってフランスのパリの地で開花を遂げて、パリを中心に新しい形のファツション・モードがヨーロッパ社会に発信されて、それが今日パリがファツション・モードの発信地であるという地位を作り上げた原点となる出来事となったと考えてみると、とても不思議な感覚となるのです。

◆ 何故なら、妖女であり悪女であるサロメの七つのヴェールの舞踊が、19世紀にリメイクされて、ジャポニスムの影響によって今日のパリのファツションモードの発信地としての原点となってしまったからなのです。そしてもしかしたら、パリ・コレクションの原点には預言者ヨハネの首を求めた『サロメ』が存在していた!?ということなのです。印象派によるジャポニスムによって『サロメ』がファツション・モードの世界の魁のシンボルとなったのです。

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( 今日のパリコレクションのルーツは、ジャポニスムの影響を受けたサロメの七つのヴェールの舞踊だったかもしれない。)
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水と木の精霊の守り人

Author:水と木の精霊の守り人
 浮世絵の中に描かれている宗教・歴史・信仰・民俗学・古典などに深い関心があり、『精霊の守り人』のファンです。また、浮世絵の影響を受けたフランス印象派やジャポニスムに関心を持っています。
( Impressionnistesとは、正しい翻訳では、印象派と訳すのではなく、フランスの浮世絵師と訳すのが正しい翻訳であるそうです )
特に浮世絵の研究者でもあり、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士のファンの一人です。博士の講演の中で、ジャポニスムとは、日本趣味ではなく正しくは、~イズム(ism)とはその人の生き方・精神を顕わして日本趣味ではなく、日本主義と訳すのが正しい翻訳であるそうです。また内部被曝問題に関心があります。日本GAP・アダムスキーやオムネク・オネクに関心を持っています。

◆ このファンサイトの主旨
 
 このファンサイトは、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士の個人的・非公式非公認ファンサイトです。これまで博士の芸術論講座や講演会に筆者が参加して、個人的に主観的に思ったこと考えたことが書かれています。ですから客観的な公式・公認の情報ではありません。

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