五井野正 博士ファン倶楽部  浮世絵と印象派を通して学ぶ自然世界

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赤い風車・MOULIN ROUGE                     パリの浮世絵師・ロートレックの世界 


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◆ 先日、東京の五井野正の講演会の時に、日本の浮世絵の影響を大きく受けていた印象派の画家であるロートレックの話があって、映画の『赤い風車』のことについて述べられていたので、さっそく購入して見てみることにしました。ロートレックの19世紀のフランスのパリに生きた藝術家であり、ゴッホやレ・ミゼラブルを書いたビクトル・ユゴーと同時代人であった人であると思います。

◆ それで映画を見てみると、レ・ミゼラブルの世界と同じように、警察から追跡されている青い服を着たパリ・モンマルトの娼婦マリイを貴族階級出であるロートレックが助けた出来事の話があり、そのことでその娼婦マリイを自分のアパートに匿うことになるのです。

◆ しかし、ロートレックは、これまでも自分の身体に障害があることで、幼なじみの貴族の娘と許嫁となっていたのだけれども、身体の障害を理由に破談となって、女性に対して思いを寄せるたびに、自分の身体障害のことで、ずっと心が傷ついていたのです。

◆ だからその警察から助けたマリイに対しても、いずれ同じ事になるので、警察から逃れたら早く自分のアパートから出ていけと話をしていたのですが、マリイのほうは、ロートレックが貴族出身であることを読んで、強引に居候をさせてもらうことになり、その度に、ロートレックに金をせびる状態となり、日本で言えば谷崎潤一郎の『痴人の愛』のナオミのような典型的な悪女の性格を帯びた娼婦だったです。

◆ しかし、ながらロートレックは、そんな女性を自分の淋しい心持ちのせいか、その度にマリイを許して思いを寄せてしまうのです。そしてゴッホと同じようにその娼婦をモデルに絵を描くのですが、最後はやはり、そのマリイは、悪女の性格が治らず、ロートレックは、彼女を自分のアパートから追い出すことになるのですが、それ以降、ロートレックは、精神的に落ち込んで酒浸りとなってしまうのです。

◆ そこで様子を見に来た母親の助言もあって、ロートレックは、マリイを探しに場末のバーのような処を探すのですが、最後にマリイと出会うことになりますが、そこで再び身体障害のことをマリイが口にして罵り、決定的な決裂となっとしまう。ロートレックのマリイに対する思いは、完全にうち砕かれてしまうのです。

◆ そのようなロートレックに対して、次に現れた女性がミリアムという女性で、彼女と出会ったのは、橋を通りかかった処、これから川に身投げをするのではないかとロートレックが察知して、彼女に声をかけた事が、始めの偶然の出会いで、その後このミリアムという女性と再び出会い、交際を深めてゆくのです。

◆ そしてある日、彼女の自宅のアパートに招かれた時に、一枚の肖像画を彼女からロートレックは見せられるのです。その肖像画は、女性を描いたもので、ミリアムがどこかのぼろ市で安く手に入れた絵であったのです。しかし、その絵は実は、以前にロートレックが描いた絵であり、それもその絵のモデルは、ロートレックが警官から助けて自宅に匿って居候をさせていた娼婦マリイの肖像画であったのです。

◆ どうしてこのマリイの肖像画が、ここにあるのか? ロートレックは、内心大変、心が動揺してしまう。ミリアムの話によると、この女性の肖像画を見たときに、その肖像画の女性の眼には、悲しみが宿っていて、この絵を見たときに、その女性の眼を見たときに、その悲しみの心が伝わってきたので、この肖像画を購入したのだと言う。

◆ ロートレックは、彼女の何気ない言葉に驚いてしまう。そして恐らく、自分は知らない間に、マリイの内面の中に隠して秘していた『悲しみの心』を、知らない間に、マリイの肖像画の中の眼の中に描き込んでいたことをミリアムの言葉を聞いて気付いてしまう

◆ そして自分は、その悲しみの心を秘めたマリイと決裂してしまったことに気づき、その肖像画があるミリアムの部屋にいられなくなり、その部屋を出ると同時に、思いを寄せてくれるミリアムともロートレックのほうから一方的に別離してしまうのです。

◆ そしてそれからアルコール漬けの生活が始まり、そのような生活を改善させるために、自らの城に戻ってくるが、最後は脳出血で亡くなってしまうのですが、亡くなる前に、父親から長年疎ましく感じていた自分の息子の絵画がルーブル美術館に買い上げられたというルーブルからの通知をロートレックに伝え、父と息子の和解がなされるのですが、ロートレックはその後に息を引き取ってしまうのです。

◆ 臨終の時に、これまでロートレックが、カフェ・ムーラン・ルージュで交流をしてきた踊り子達や娼婦や芸人の人々が、これまでの友人・知人たちが、臨終のロートレックのベットに傍に現れて、ロートレックに最後の挨拶をして、ロートレックは次の世界に旅立ってゆく・・・

◆ 以上がこの映画の私なりの解説となってしまいますが、この映画を見て感じたことは、ロートレックは、ゴッホが娼婦シーンや未亡人の女性ケイといろいろとあったように、同じように女性問題でいろいろとあった人であり、この映画のストリーもロートレックの伝記を元に作られているようですが、何か内面に深く突き刺さるようなものがあると思います。( ロートレックの映画には、もう一つ『葡萄酒色の人生』があるようです。こちらは今度報告します。)


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◆ さてロートレックは、映画の中では、ムーラン・ルージユの常連のお客さんであり、多くの人々は、ロートレックが身体障害を抱えている人であると知っていても、名門のトゥールズ家の貴族階級の人間であるということで敬意と礼を尽くされていますが、それでもロートレックは、自らの身体障害を隠すために、ムーラン・ルージュが終わる最後の時間まで、テーブルに座ってデッサンを描き続けて、室内の明かりが消灯してから、席を立って帰宅するのです。でもいつもカフェにいる時は、芸人や踊り子を北斎漫画のように、その場ですばやく、その動きをデッサンしてゆく姿が描かれています。

◆ またムーラン・ルージュの支配人に頼まれて、ポスターを描いてほしいと言われて、踊り子達をテーマとして絵を描きます。そしてそれを銅板印刷のような印刷屋さんの処に持っていって、ロートレックが描いたポスターの印刷をするのだけれども、その配色の関係で、印刷屋さんとあれこれと指示を出しているロートレックの姿も描かれています。

◆ そしてこのポスターがかなり大きなポスターなのですが、これをムーラン・ルージというカフェであり歌舞伎であり社交場の世界の踊り子達やその姿を大量に印刷して大量に広告として流してゆくわけですから、それはまさに日本の浮世絵の世界、特に歌舞伎絵の大量印刷のようなものをロートレックは、19世紀のパリのムーラン・ルージュの世界の中で行ってゆくわけです。ですから、本当の意味のパリの浮世絵師であり、そのようなことが断片的にですが映画の中に表現されています。

◆ ですから、この映画は、縦軸がロートレックを巡る女性関係であれば、横軸は、ムーランルージュの華やかなカフェの世界とその中で生きる踊り子や娼婦や芸人達を描く浮世絵の世界となっていると思います。このような構図は、娼婦と結婚をしていたゴッホの人生と大変似ている側面があります。ロートレックにとってもゴッホのシーンに該当するような女性がいたわけです。それについてはまた次回、少し勉強をしてから進めてゆきたいと思います。

◆ 次に上段のDVDは、『フレンチカンカン』で、直接ロートレックがその中に描かれているものではありません。どちらかというと、パリの場末のカフェの世界で、どのような形で、ムーラン・ルージユが作られていったのかということで、その経営者の姿とそこでフレンチカンカンを踊る踊り子達の様子が描かれています。

◆ 下段はロートレックが描いたムーラン・ルージュのポスターの一枚で、ロートレックは、三十七枚ほどのポスターを描いているようです。でも踊り子達の姿は、現実の姿とは違って、内面に隠された個性がデフォルメされていたりして、浮世絵の写楽の役者絵の表現方法と似ている側面があると思います。ロートレックについては、あまり深いことは知りませんが、日本の浮世絵師と同じように、悪所の世界に入って絵を描き、いろいろな画家と繋がりがあり、名門の貴族階級出身者なのに、今で言うアングラの世界に和んでいた人なので、これからも調べてゆきたいと思っています。
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水と木の精霊の守り人

Author:水と木の精霊の守り人
 浮世絵の中に描かれている宗教・歴史・信仰・民俗学・古典などに深い関心があり、『精霊の守り人』のファンです。また、浮世絵の影響を受けたフランス印象派やジャポニスムに関心を持っています。
( Impressionnistesとは、正しい翻訳では、印象派と訳すのではなく、フランスの浮世絵師と訳すのが正しい翻訳であるそうです )
特に浮世絵の研究者でもあり、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士のファンの一人です。博士の講演の中で、ジャポニスムとは、日本趣味ではなく正しくは、~イズム(ism)とはその人の生き方・精神を顕わして日本趣味ではなく、日本主義と訳すのが正しい翻訳であるそうです。また内部被曝問題に関心があります。日本GAP・アダムスキーやオムネク・オネクに関心を持っています。

◆ このファンサイトの主旨
 
 このファンサイトは、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士の個人的・非公式非公認ファンサイトです。これまで博士の芸術論講座や講演会に筆者が参加して、個人的に主観的に思ったこと考えたことが書かれています。ですから客観的な公式・公認の情報ではありません。

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