五井野正 博士ファン倶楽部  浮世絵と印象派を通して学ぶ自然世界

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1979年チェルノブイリ原発事故を警告したソ連邦映画                          アンドレイー・タルコフスキー監督『ストーカー』

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■ 映像中にテレキネシスの能力がある子供が読んでいるロシア語の詩の翻訳は下記となります。

ふと、まなざしを上げ、まわりを閃光のごとく、
君が眺めるとき、その燃える魅惑の瞳を、私はいつくしむ。
だがいっそうまさるのは、情熱の口づけに目をふせ、そのまつげのあいだから、
気むずかしげでほの暗い、欲望の火をみるとき。

■ ドストエフスキーが秘かに愛していたロシア・ロマン派の詩人チュチェフの詩・タルコフスキー、好き!・タケレオ出版よりの翻訳より。)


◆ 上記四枚の写真の映像は、ロシアの映画監督であるアンドレイ・タルコフスキーの1979年の作品『ストーカー』と言う映画の最後の方の場面です。タルコフスキーについては、このブログでも『サクリファイス』『惑星ソラリス』『ノスタルジア』と紹介をしてきましたが、ロシアにおいても、諸外国においても、タルコフスキーの作品は、大変難解な作品として話題となりますが、この作品は、タルコフスキー作品の中でも、恐らく大変難解で哲学的宗教的作品となるようです。また上段の映像は、ストーカーの断片的映像ですが、ゾーンに向かうストーカーと作家と物理学者が描かれています。一番上のナザレのイエスように棘の冠を被っているのがゾーンに向かうロシアの作家です。

『 隕石が落ちたのか、宇宙人が来たのかわからない。とにかくある地域に奇怪な現象が起きた。そこがゾーンだ。軍隊を派遣したら全滅してしまった。それ以来ゾーンは禁止となっている。手の討ちようがないんだよ。』       
      
             ノーベル賞物理学者ヴォーレス博士がライ記者に語った言葉
    


◆ 上記コメントは、この映画の冒頭に記述されてくるコメントですが、『ストーカー』と言う作品の概略を説明しますと、ある日、ロシアに隕石のような未確認飛行物体のような、或いはツングースの巨大隕石のようなものが落下するのです。そして周辺の街は崩壊してしまうのです。そしてその隕石のようなものが落ちた周辺には、異変が起きていて、何者か存在していて、軍隊や科学兵器を送り込むのですが、全て全滅してしまうのです。そこでその隕石が落ちた周辺地域は、『ゾーン』として政府は進入禁止区域として、周りに軍をおいて警戒をしているのです。ちょうど先日、ロシアに宇宙から落下した隕石のようなものであるかもしれません。


( 上記は、ロシアに宇宙から飛来した隕石の映像、ストーカーの映画では、その後に隕石が落下した周辺地域にある都市伝説が生まれくる。)

◆ ところが、その後その周辺地域で、都市伝説のような噂が流れ始めます。それはその『ゾーン』という区域の中には、特別な場所があって、そこに辿り着くのであれば、その特別な場所は、人間の潜在願望を現実化してくれる、人間の望みを満たしてくれる特別な部屋がゾーンの中にあると言う噂が流れるのです。ただしその場所に行くためには、ゾーンによる眼に見えない審査があり、『不幸なる人』でなければ、そのゾーンの特別の地域にはたどり着けないと言うのです。

◆ そして噂では、その隕石が落ちた禁止区域の中であるゾーンの中にあるその特別な部屋に案内する人間を密猟者という意味を含めて人々は『ストーカー』と呼んでいたのです。ある意味では、ストーカーとは、未知なる時空間であるゾーンのあり方を理解できる地球上の代理人であるのです。そしてこの映画の物語は、そのゾーンの代理人・ストーカーに依頼にして、その特別の部屋・ゾーンに行こうとするソ連邦の作家と物理学者とストーカーの3人の物語なのです。ゾーンとは、宇宙から飛来したものによって作られた特別の区域・部屋であるのです。




◆ しかし、実際に危険を犯してストーカーに案内されて、その特別の区域・特別の部屋であるゾーンに辿り着いてもこの作家も物理学者もゾーンの中に入らなかったのです。いや入れなかったのです。もし入室すれば、その人の潜在意識の中にある願望を現象化してくれる特別な時空間なのです。でもせっかく辿り着いたのに、最終結論はゾーンに入らなかったのです。

◆ それでは彼等は何故、ゾーンと言う特別な時空間の部屋に入らなかったのか、それはその中に入る事によって自分自身の中にある本当の潜在意識の中にある本質的な願望が現象化されて明らかになってしまうからです。それは以前に、ストーカーによって導かれてゾーンに入った知人が、親族の病気が治ることを願ったが、ゾーンから戻ってみると金持ちになっていたと。そしてその後にその知人は自殺してしまったのです。

◆ 結局その知人は、ゾーンによって、本当は親族の病気の回復がその知人の潜在願望ではなく、本当は金持ちになることであったということをゾーンに見せられて、知人はショツクのあまり自殺してしまったと言う話をするのです。作家も物理学者もゾーンの部屋に辿り着くまでは、どうして知人がゾーンに入って金持ちとなり願望が満たされたのに自殺してしまったのか、その理由がわからなかったのです。

◆ しかし、危険を犯しながら、ゾーンを求めて行く行動の中で、ストーカーとの対話を通して、ゾーンとはいったい何であり、その本当の実体に少しずつ気付いてくるのです。そしてそれが自分自身の本当の姿を顕す鏡のようなものであると悟った時に、そのゾーンという特別な時空間の部屋に入れなくなってしまったです。つまり、本当の自分の姿を見るよりも、まだ偽りの世間の中で生きていたほうがよいと作家は話すのです。

◆ そのようなことで、ゾーンにはだれも入らないで戻ってくるのです。そしてストーカーは、自宅に戻って、作家と物理学者のあり方を批判します。だれもゾーンに入ろうとしないと。そして本当に不幸なことは、だれもゾーンを必要としていないことだと妻に話をして寝てしまいます。でも妻は、私がゾーンに入ろうかと言いますが、ストーカーは、お前の身に何かあったら大変だから絶対だめだと言うのです。

◆ そのようなことで、このストーカーと言う映画は、ある意味で『惑星ソラリス』の宇宙ステーションの中で起こった現象を、現実のソビエト社会の中に置き換えて作られた物語であるということがわかってきます。ソラリスの世界観が、ゾーンと言う特別な時空間の部屋に変換されて、ソビエト社会が舞台となっているのです。そしてその中で、ゾーンとはある意味で、潜在意識を現象化させると言う宗教的な意味を持っている特別な時空間であると思えてきます。もしこの日本の中にそのようなゾーンがあったのなら、私たちは入ることができるでしょうか。 

◆ さて、それで始めに戻りますが上段の四枚の写真ですが、実はこの『ストーカー』の映画は、1979年に製作された映画であり、それはソビエト連邦が1986年にチェルノブイリ原発事故を起こす以前に、ソ連邦国内で造られた映画なのです。そしてその映画の最後の場面に映像が上段の映像なのですが、子供を肩に背負っているのが主人公の『ストーカー』でその背後で後に付いてきているのが、彼の奥さんなのです。

◆ ところが、この映像からは判別できませんが、実はこの『ストーカー』の子供は、身体障害者なのです。彼は下肢がないのです。ですから歩行できない児童なのです。映画の始めには、『ストーカー』の奥さんは、『ゾーン』に関わるから『呪われた子供』が生まれてきたのだと話をしているのです。( しかし、その子供は最後の場面では、テレキネシス・念動力を持っている特殊能力を持つ児童であると描かれているのです。)

◆ そしてその子供を肩に背負っているストーカーと彼の奥さんの正面前方には、原子力発電所があるのです。そしてその発電所の正面には、大きな池と沼地があるのです。このロケーションは見る人が見たら、チェルノブイリ原発を顕しているように思えるでしょう。そしてストーカーの自宅は、この原子力発電所の近くにあって、彼の子供には下肢がなく身体障害者であると描かれているのです。

チェルノブイリ原発地形図





( 上記動画は、ストーカーの全篇ですが、すべてロシア語です。湖を背景とした原子力発電所の映像は、後半の最後の部分で出てきます。 )

◆ この映画は、ソ連邦で1986年にチェルノブイリ原発事故が起きてる以前に造られた、ある意味では、タルコフスキーが原発事故の危険を予測して造られた預言的映画できないかと考える人々が、日本でも福島原発事故を通して考える人々が増えてきているのです。

 【映画『ストーカー』のプロローグとエピローグで描写されている居酒屋の入り口のドアの遠方には、原子力発電所の姿がはっきりと映し出されている。そしてその発電所の周囲の街は、廃墟となっており、立ち入り禁止区域となっている。この映像を見る限り、これは原発事故後のチェルノブイリの街を顕わしているように見え、立ち入り禁止区域であるゾーンとは、或る意味では、放射線管理区域のようにに見えてくる。】

◆ 特にタルコフスキー映画は、核の時代の黙示録をテーマとして映画製作を行い、その中で日本の自然と人間が共に生きている世界・ジャポニスムを、核の時代の黙示録の映画の中で、その解決方法として映画映像を通して、日本のジャポニスムの重要性を訴えてきた人であるので、日本人の中でその一部の人々がやっと、ロシア人の芸術的知性を今になってやっと理解できるようになってきているのです。

◆ そのようなことでこの映画は、ソビエト連邦におけるチェルノブイリ原発事故を預言した映画でもあり、またゾーンという禁止区域の世界に吹き込まれている物語を含めると、その中に宗教的哲学的なテーマが練り込まれているのですが、また何故に身体障害者の児童をテレキネシス・念動力と言う特殊能力を持つ子供として描いているのか理解できない部分もあるのです。また、この映画の中で述べられているゾーンが間接的に原子力発電所と関連性を暗示させている処に核心が隠されているような気がします。タルコフスキーは、黙示録の『にがよもぎ』の言葉を深く読み込んでいたのでしょう。

◆ この原子力発電所を背景に歩いている3人の家族と池の中に立つ原発の排気口より煙が上がっている風景を見るときに、私達は、言葉による説明はなくとも、見る人に何を訴えているのか伝わってくる複雑な印象があるでしょう。それは原子力発電所の内部被曝疾患の世界と共存する世界の中で、哲学的宗教的思考をすること・・・ストーカーとは、未来の内部被曝に汚染されたそのような社会に住む一人の哲学者の姿でしょうか・・・・実は、福島原発事故を体験した私達日本人は、恐ろしいことに、この映画を具体的に簡単に理解することができると思います。


アンドレイ・タルコフスキー(ウィキペディアより)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AC%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%83%AB%E3%82%B3%E3%83%95%E3%82%B9%E3%82%AD%E3%83%BC
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水と木の精霊の守り人

Author:水と木の精霊の守り人
 浮世絵の中に描かれている宗教・歴史・信仰・民俗学・古典などに深い関心があり、『精霊の守り人』のファンです。また、浮世絵の影響を受けたフランス印象派やジャポニスムに関心を持っています。
( Impressionnistesとは、正しい翻訳では、印象派と訳すのではなく、フランスの浮世絵師と訳すのが正しい翻訳であるそうです )
特に浮世絵の研究者でもあり、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士のファンの一人です。博士の講演の中で、ジャポニスムとは、日本趣味ではなく正しくは、~イズム(ism)とはその人の生き方・精神を顕わして日本趣味ではなく、日本主義と訳すのが正しい翻訳であるそうです。また内部被曝問題に関心があります。日本GAP・アダムスキーやオムネク・オネクに関心を持っています。

◆ このファンサイトの主旨
 
 このファンサイトは、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士の個人的・非公式非公認ファンサイトです。これまで博士の芸術論講座や講演会に筆者が参加して、個人的に主観的に思ったこと考えたことが書かれています。ですから客観的な公式・公認の情報ではありません。

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