五井野正 博士ファン倶楽部  浮世絵と印象派を通して学ぶ自然世界

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ゴーギャン『レミゼラブル』ジャンバルジャンの自画像と                          ゴッホ『永遠の仏陀の素朴な崇拝者』の自画像

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◆ 上記は、ゴーギャンが『レ・ミゼラブル』のジャン・バルジャンに自分を投影させて描いた自画像です。そして下段のゴッホの自画像は、何度も述べていますが『印象主義者一般を顕している永遠の仏陀の素朴な崇拝者』の像です。この二人の自画像は、1888年の秋に、アルルのゴッホとポン=タヴェンのゴーキャンがお互いの自画像を交換したとされています。

◆ ゴーギャンは、自らを、ジャン・バルジャンに譬えていますから、すでにユーゴーの『レ・ミゼラブル』を読んでいるのでしょう。ゴーギャンがゴッホに宛てた手紙には次のようなことが書かれていたようです。

『 ならず者の面貌、よからぬ風体、頑健な体格、まるで気高くやさしい心を内に秘めたジャン・バルジャンみたいだ・・・子供じみた花を散らした少女趣味の可愛らしい背景は、ぼくらの芸術的な純真さのあかしだ。社会から虐げられ、無法者となった、愛と力の人ジャン・バルジャンは、今日の印象主義者の像と重なるのではないだろうか。自分に似せてこの男を描いてみたが、これは僕の姿であると同時に、僕らの仲間すべての肖像でもある。善行によってしか仕返しできぬ、社会の悲しい犠牲者達の肖像なのだ。』

◆ ゴーギャンの上記のような印象主義者とは、レ・ミゼラブルの主人公であるジャン・バルジャンであるという見解に対して、ゴッホは次のような見解を弟のテオに向けた手紙の中で手紙を書いているのです。

『ゴーギャンへの返事に僕はこう書いた。肖像画の中で自分の個性を強調することが僕にも許されるのなら、僕は自分の肖像画の中に、自己のみならず印象主義者一般を表そうと努めた。したがって僕はこの肖像画を永遠の仏陀の素朴な崇拝者である坊主の像だと考えているのだと。』

◆ 今、このように二人の肖像画の中に顕されている印象主義者像について考えてみると大変面白いと思います。ゴーギャンは、印象主義者とは、レ・ミゼラブルの主人公ジャン・バルジャンと譬え、ゴッホは、永遠の仏陀の素朴な崇拝者であると述べています。二人の見解では、印象主義者とは、ジャン・バルジャンであり、永遠の仏陀の素朴な崇拝者であると述べているのです。

 追記

◆ しかし、改めてゴッホのこのゴーギャンに対する返事の手紙は、ゴーギャンの手紙を読んで、まったくゴーギャンの見解を否定して、ゴッホ自身が自分の見解を述べていると言うよりも、ゴーギャンの印象主義者一般に対する見解に対して、ゴーギャンの見解と懐疑している部分に対する解答ということで、ゴッホ自身が述べているということだと思います。

◆ それでは、ゴーギャンの手紙の中で、ゴーギャンが懐疑している内容とは何かということであり、その懐疑に対してのゴッホの見解と解答がゴッホのゴーギャンに対する手紙の内容となるのです。それでは、ゴーギャンの懐疑とは何か?何をぼやいているのか?

◆ それは、ゴーギャンは、印象主義者とはジャンバルジャンのように社会の様々な仕打ちに対して、善行という形でしか仕返しがてきない人々であり、それ故に社会の悲しい犠牲者達』なのだというぼやいているのです。それに対して、ゴッホはゴーキャンに、実はそうではなく印象主義者達が、社会の様々な仕打ちに対して善行でしか返すことができないのは、全ての印象主義者達が、永遠の仏陀の素朴な崇拝者だからなのだよ。とゴッホは述べているのです。

◆ これみなさん、二人の対話を見てどのように思いますか?私は、ゴッホのゴーギャンに対する見解は、機転の効く高度な解答をしていると思えてなりません。やっぱりゴッホの感性は凄いなと改めて感じますが、このゴーギャンの懐疑に対するゴッホの解答とは、拡大解釈すれば、それは印象主義者の見解に影響を受けた文学者達も、ジャン・バルジャンを生み出したユーゴーも、実は永遠の仏陀の素朴の崇拝者であり、みんな日本の浮世絵のコレクターだったのだとなるでしょう。

◆ そのようなことで、私たち日本人は、このゴッホとゴーギャンの対話を読んで、『レ・ミゼラブル』を通して同時代人であった印象派の画家達やヴィセント・ファン・ゴッホについて、もっともっと関心を持ってもよいのではないでしょうかと個人的に思います。
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水と木の精霊の守り人

Author:水と木の精霊の守り人
 浮世絵の中に描かれている宗教・歴史・信仰・民俗学・古典などに深い関心があり、『精霊の守り人』のファンです。また、浮世絵の影響を受けたフランス印象派やジャポニスムに関心を持っています。
( Impressionnistesとは、正しい翻訳では、印象派と訳すのではなく、フランスの浮世絵師と訳すのが正しい翻訳であるそうです )
特に浮世絵の研究者でもあり、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士のファンの一人です。博士の講演の中で、ジャポニスムとは、日本趣味ではなく正しくは、~イズム(ism)とはその人の生き方・精神を顕わして日本趣味ではなく、日本主義と訳すのが正しい翻訳であるそうです。また内部被曝問題に関心があります。日本GAP・アダムスキーやオムネク・オネクに関心を持っています。

◆ このファンサイトの主旨
 
 このファンサイトは、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士の個人的・非公式非公認ファンサイトです。これまで博士の芸術論講座や講演会に筆者が参加して、個人的に主観的に思ったこと考えたことが書かれています。ですから客観的な公式・公認の情報ではありません。

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