五井野正 博士ファン倶楽部  浮世絵と印象派を通して学ぶ自然世界

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レ・ミゼラブルでは、ファンティーヌ(娼婦)と              私生児・コゼットが主人公の中心にいる


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◆ 上記は、ファンティーヌの一人娘のコゼットですが、ジャン・バルジャンの心の中には、ずっとファンティーヌとコゼットに対する強い思いがありました。この物語では、元囚人と娼婦となってしまった女性、そして父親がいない子供が主人公なのです。いわばヨーロッパの階級社会の下層・労働者階級の世界です。あえて言えば、娼婦と娼婦の子供が中心となる物語なのです。(フランス文学では、具体的なキャラクターを持った子供が小説の世界に出てきたのは、レ・ミゼラブルの小説が始まりのようです。)

◆ この部分は、ヴィセント・ファン・ゴッホの現実の家庭生活と似ています。何故なら、ゴッホの奥さんであったシーンは娼婦であり、シーンの子供は、だれが父親であるかわからず、それでもゴッホは、両親や弟テオや知人など周りの反対を押し切ってシーンと同棲して、シーンの子供達を愛していたのです。

◆ そしてゴッホは、画家ですが画家になる前は、プロテスタント教会の牧師であり、そしてイギリスの炭坑の町に派遣されて、炭坑労働者達の厳しい現実を体験して、ゴッホは自分の持ち物から金銭に至るまで、困っている炭坑労働者に与えて、今で言うソーシャルワーカーのような実践をしていたのです。

◆ ですから、レ・ミゼラブルが生まれた時代とは、絵画では印象派の人々が浮世絵・ジャポニスムの影響を受けて活動していた時期でもあり、事実は小説より奇なりの言葉どおり、レ・ミゼラブルの世界は、ある意味ではゴッホの世界の中にも顕れていたのです。そしてまた驚いたことに、ユーゴーもゴッホのように多数の浮世絵をコレクションをしていました。

◆ そしてこれまで述べてきたように19世紀のヨーロッパの階級社会は、キリスト倫理社会がまだ人々の生活様式を支配する世界でした。そしてそのような社会に、日本から大量の美しい浮世絵が入り、その浮世絵の世界の中には、農民や一般の庶民が人々が共同して生活して生きている社会主義の考え方が具体的に顕されている絵画でもありました。そしてその浮世絵の世界の新しい価値観に気付いた人々が当時の印象派の人々でした。

◆ そしてその印象派の人々は、これまでヨーロッパの絵画の世界が、キリスト教会や貴族・ブルジョワジー社会に仕えていて、特にその中でカトリック教会は、権力を持ってナザレのイエスの心と反対の方向に向いていました。そして芸術家の絵画のテーマとなるものさえキリスト教倫理によって縛られていました。

( 本来のナザレのイエスの教えでは、農民や労働者などの貧しい人々や娼婦などを導くために、イエスはその人々を対象に教えてこられたので、芸術家の描くテーマとは、ナザレのイエスが教えの対象としていた人々を描くのが筋であると考えて、ゴッホは、農民の姿を描いたミレーに影響を受けて農民や労働者達を描いていた。このように捉えれば、ヴィクトル・ユゴーは、そのようなことをゴッホのように絵の世界ではなく、文学の世界で表現しょうとしたと理解できる。)

◆ その中で印象派の人々が、そのようなカトリック的なキリスト教倫理社会に対抗して、絵画は一部の特権階級の人々のためにあるものではないと気づき、日本の浮世絵の中に顕されている汎神論や社会主義の世界の影響を受け、当時まだ、キリスト教倫理によって、魔女の扱いを受けていた生活するために娼婦となってしまっているパリの娼婦の人々をテーマとして絵を描き、日本の社会であるのなら、このようなことにはならないとキリスト教倫理の世界を絵画表現を通して批判したのです。

◆ そしてこのようなジャポニスムの影響が、単に芸術の世界のみではなく、マネとゾラの関係を見てもわかるようにフランス文学の世界にも大きな影響を与えて行ったのだと思います。それはおかしな話ですが、ウィセント・ファン・ゴッホが愛した人もシーンという娼婦でしたが、マネやモネもロートレックなども娼婦をテーマとして絵を描いていますし、マネの『オランピア』と言う実在する娼婦を擁護したゾラも『娼婦ナナ』という小説を描いています。

◆ 当然、このユーゴーの『レ・ミゼラブル』もファンティーヌという娼婦が物語の始めに出てくるのです。それは19世紀当時のフランス階級社会の状況をそのまま顕して多くの女性がパンのために娼婦となっていたのです。そして、このような問題を、印象派の人々だけではなく、文学者達がカトリック教会の倫理が支配する資本主義社会で起きている問題について抵抗運動を印象派の人々のように始めたのだと思います。その意味からすれば『レ・ミゼラブル』は、体制側にとっては危険な小説であるのです。

◆ またヴィクトル・ユーゴーについて調べてゆくと、ユーゴーはパリの自宅に数多くの浮世絵を室内に展示していたようで、浮世絵をコレクションしていたという記述や記事があります。しかし、現実にどのような日本の浮世絵をユーゴーがコレクションをしていたのか、ユーゴーとジャポニスムの関係を調べる上で、日本人としては大変貴重な情報と思えるのです。

◆ しかし、これだけ世間では、『レ・ミゼラブル』が日本にも広く紹介されても、ユーゴーが日本の浮世絵をコレクションをしていても、日本のジャポニスムがユーゴーの文学に大きな影響を与えたかもしれないのに、ユーゴーの浮世絵コレクションについて、だれもオープンにせず、ジャポニスムとの関係について調べている人がいない状況を知ると何故か大変悲しくなって来ました。本当はその中に『レ・ミゼラブル』が多くの人々に愛読されている謎を解く鍵が隠されていると思われてならないのです。
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水と木の精霊の守り人

Author:水と木の精霊の守り人
 浮世絵の中に描かれている宗教・歴史・信仰・民俗学・古典などに深い関心があり、『精霊の守り人』のファンです。また、浮世絵の影響を受けたフランス印象派やジャポニスムに関心を持っています。
( Impressionnistesとは、正しい翻訳では、印象派と訳すのではなく、フランスの浮世絵師と訳すのが正しい翻訳であるそうです )
特に浮世絵の研究者でもあり、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士のファンの一人です。博士の講演の中で、ジャポニスムとは、日本趣味ではなく正しくは、~イズム(ism)とはその人の生き方・精神を顕わして日本趣味ではなく、日本主義と訳すのが正しい翻訳であるそうです。また内部被曝問題に関心があります。日本GAP・アダムスキーやオムネク・オネクに関心を持っています。

◆ このファンサイトの主旨
 
 このファンサイトは、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士の個人的・非公式非公認ファンサイトです。これまで博士の芸術論講座や講演会に筆者が参加して、個人的に主観的に思ったこと考えたことが書かれています。ですから客観的な公式・公認の情報ではありません。

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