五井野正 博士ファン倶楽部  浮世絵と印象派を通して学ぶ自然世界

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ドイツ・ワンダーフォーゲルの思想と汎神論の世界

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(上記は、ユーゲントシュティールの絵本から、キリスト教化される以前のゲルマン神話の世界を顕している。ドイツのユーゲントシュティールの装飾美術も印象派の源であるジャポニスムの自然観・宗教観の影響を受けていると思われる。)

◆ 今回、反原発運動や内部被曝問題を通して、『みどりの党』に関心を持つことになった。と言うよりも、確か以前に、1980年代後半に、始めてドイツでペトラ・ケリーという女性の反原発運動家が、『緑の党』を立ち上げた時に、ペトラ・ケリーにとても関心があって、いろいろと調べたりしていた時のことを思い出した。


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◆ ペトラ・ケリーは、再婚した母親の夫がアメリカの軍人で、ベトナム戦争や朝鮮半島などに従軍してこともあり、その関係で、家族でアメリカに移住してアメリカで教育を受けているが、若い時から政治問題に深い関心を持ち、また実の妹が、癌で小さい時に死亡したということがあって、癌を巡る放射線治療の問題を通して、原発が持つ低線量被曝や内部被曝の問題に早い時期に気付いていた。

◆ またアメリカの大学を卒業後に、欧州共同体の経済社会委員会など、ECに勤務をして、欧州の様々な政治団体について研究をしていたり、ECの官僚機構が大資本家や国際金融の意向に従って動いていることを批判したり、当時は東西対立の中で、西ドイツに核兵器がアメリカによって配備されてしまう可能性もあって、ECの経済社会委員会に勤務して様々な提言をする研究者としての職員でありながら、様々な平和活動に参加していた人である。そしてその後、緑の党の草創期の中心的人物となった。

( そのような彼女の経歴の中で、大変驚愕したことは、ペトラ・ケリーがチベット問題に深く携わり、ダライ・ラマなどの僧侶と会見などしていたことも驚いてしまったが、それ以上に驚いたことは、彼女がタントラに深い関心を持って評価していたことだった。もともとこの人は、小さい時には、カトリックの修道院付属の学校にいて、将来は第三世界で働くシスターになりたいと思っていた人であるが、そのような人がチベットのタントラの世界に共感して、その必要性を説いていたことには驚いてしまった。)



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緑の党草創期の一人・ペトラ・ケリー

◆ そしてそれは、当時のドイツ・緑の党の背景にあったエコロジー運動などを調べてゆくにつれて、ドイツという国の中には、キリスト教化される以前には、日本と同じような、自然の世界を神の具現と感じるような汎神論の世界があることがわかってきた。だから、そのエコロジー運動の根底には、昔からドイツの中に流れている伝統的なエコロジー的な汎神論信仰の世界があってそれが深い根幹を持っていると思う。

◆ 汎神論というと難しい言葉であるけれども、ドイツの民間神話を調べてゆくと、そこには森の中の妖精の世界があったり、こびとの世界があったり、ライン川のローレライの水の精霊の世界があったりと不思議な世界があったことに気付いてくる。ところが、キリスト教信仰が入ってくると、そのような自然の中に顕されてきた妖精の世界は、悪魔の世界に変化されて、本来のドイツの自然の汎神論の世界は抑圧されてしまったらしい。

◆ たとえば、よく指摘されていることであるが、ドイツの有名な音楽家であるヴァーグナーの世界のニーベルングの指環の中でも、『ラインの黄金』や『ワルキューレ』『ジークフリード』『神々の黄昏』などの世界には、北欧神話の世界が顕されていて、それはドイツがキリスト教化或いはユダヤ教化されて、都市化・資本主義化されてゆく以前の自然の世界と共生して生きていた本来のドイツ人の汎神論の世界に戻そうとする音楽の精霊による芸術運動があった。

( ヴァーグナーの音楽の中では、『ワルキューレ騎行』は、特に多くの人々に印象深いと思われるが、もともとこのニーベルングの指環とは、愛を断念することによって作られるラインの黄金の指環は、世界の富と権力を支配できる魔力を持つ指環であり、その魔力の呪いによって、神々の世界の黄昏が起きてくると言う北欧神話の物語である。

 この世界の富と権力を支配できる黄金の指環とは、昔から社会科学的な解釈がなされていて、その指環の実体とは、実は、金が金を産みだしてゆく今日の国際金融資本主義の原理を顕わしており、指環の世界とは、その魔力の指環を持つ国際金融財閥によって世界が崩壊してゆく姿を顕わしている。つまり、この北欧神話の持つ隠された意味とは、この国際金融資本主義の持つ魔力の世界からどのように逃れたらよいのか、その解決方法を模索する物語でもある。


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(ニーベルングの指環・ラインの黄金)

 下記のワルキューレの一人、ブリュンヒルデとは、ラインの黄金の持つ魔力の呪いによって、最後は崩壊してゆく神々の黄昏を顕す一人の女性でもあるが、最後の場面では、どうして神々の黄昏が起きてきたのか、その原因となった魔法の指環を悟り、そしてその指環を再びライン川に戻そうとする。このブリュンヒルデの内面の持つ変化について、ヴァーグナーは、インドの精神世界を導入して顕わそうとしたらしい・・・あまり知られていないことであるが、スェーデンのカール・スネソンの研究によると北欧神話の結論をインドの精神世界で乗り越えようとしたらしい。『ヴァーグナーとインドの精神世界』参照)


ワルキューレの一人・ブリュンヒルデ

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◆ そのような芸術活動の流れの始まりは、19世紀にドイツで始まった都市化された金融の世界から離れて自然の世界に回帰してゆこうとするワンダーフォーゲルの運動があって、若い世代の人々がドイツのハイマート(郷土・ふる里)の世界である森や山々に入って自然に回帰してゆく社会活動があってそのような中から、今日に広く作られている自然の中の安価な宿泊施設・ユースホステルの考え方が生まれてきていると言う。


  ユースホステルの歴史から

◆ そのようなことで、いろいろと調べてゆくと、ワンダーフォーゲルにしてもユースホステルの思想にしても、それは自然の世界に物理的に移動してゆくと言うよりも、そのような自然回帰の運動の根幹には、ドイツの中に流れている汎神論の世界と深い繋がりがあって生まれてきているもの、つまりドイツの伝統的なドイツの自然に深く根ざしている感性と深く繋がっている世界があると思えてくる。

◆ それで1980年後半に、そのようなドイツ・緑の党というエコロジーブームの影響があって、日本でも緑の党が生まれた。だからその時に私も影響を受けて、日本で生まれた緑の党に関心を持ってきたが、調べてゆくうちに気付いてきたことがあった。それは、当時の日本の緑の党には、ドイツと同じような自分の国の郷土・ハイマートと深い繋がりのある政党ではなく、そのバックグランドは、実はマルクス主義だった。

◆ その後、日本の緑の党は、エコロジーブームが無くなるにつれて消えてしまったと思う。しかしドイツの緑の党は形を変えながら、今日まで継続して欧州の反原発運動の根幹となり、欧州放射線リスク委員会という民間の市民団体を形成している。そしてそのようなドイツ緑の党と当時の日本の緑の党の違いについて考えてみると、日本の緑の党は、過去から継続して続いている歴史的民俗的な文化的な感性的繋がりがないと思う。

◆ 現在の日本人は、自らの民俗学的な過去からの郷土の世界を無視・否定している。しかし、ワンダーフォーゲル運動にしてもユースホステルの思想にしても、その始まりの起源は汎神論的な自然の民俗学的神話的な郷土の感覚や感性から生まれてきている。そしてそれは、国の民俗文化と深い繋がりがあると思うのです。そのようなことで、今回再び、日本にも改めて『みどりの党』が生まれてきた。日本のみどりの党は、本当は日本のハイマートと深い繋がりがなければならないのだろうと思えてくるのです。

◆ 今回、オムネク・オネクの2冊目の本を読んでゆくと、オムネクがドイツに行ってそこでの不思議な体験について述べられているのですが、それはなんと『こびと』の世界の話でした。それは『なんで?』と思われることでしょうが、そのような世界があったということです。こんな世界が今の現在の世界にあるのかと思うのですが、オムネクが書いているのです。


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( 上記は、オムネク・オネクの二冊目の本ですが、㌻324に【ノーム(妖精)との遭遇】と言う章で、ドイツ滞在中の不思議な出来事について、最後のほうで述べいます。それは、ドイツの魔法の森の庭園に住むこびとの世界の話です。オムネクは、小さなこびとさんから水晶の宝物・アクセサリーを貰った話が書かれてます。 )

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(上記のイラストがノーム・こびとです。)

◆ ドイツ・ワンダーフォーゲルやユースホステルの思想にしても、それは自然の世界と深い繋がりがあり、それは自然の4次元の世界である過去からの民俗文化と深く繋がっているのだと思えてきます。ですから、もしかしたら、ドイツ・北欧神話の世界とは、金星の世界はどこかで繋がっているのでしょうか? ドイツにしても前述したロシアの世界にしても、自らの国の自然の国土と人間が深い繋がりがあるということがわかってきます。
参考文献

スイス山岳農民の宗教世界

◆ そしてそのような中で、19世紀のフランスで始まったジャポニスム・日本主義による新しい芸術運動が、ヨーロッパ全土に大きな影響を与え、それがフランスの隣国であるドイツにおいては、どのような形で影響を受けて顕されてきたのかということにとても強い関心があるのです。たとえば浮世絵の影響を受けているドイツのユーゲントシューティールの世界など・・・ユーゲントシュティールとは、ドイツ版アール・ヌヴォーのことのようです。

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(上記はユーゲントシュティールの雑誌
日本の白樺派の草創期のメンバーは
そのイラスト様式の影響を受けている)


◆ それはドイツ国内で起きてきたワンダーフォーゲル運動の背景には、もしかしたらジャポニスムの影響があるのではないかと思ってしまうのです。何故ならジャポニスムとは、その国の自然主義を再生させてゆく作用がありそれは、キリスト教倫理社会に抑圧されてきた、その国がキリスト教化される以前の世界に戻そうとする民俗文化を復活をさせてゆく作用があるのではないかと思えてくるのです。

◆ 特にドイツの隣国のオーストリアにおいては、ウィーンのジャポニスムということで、クリムトが日本の浮世絵に大きな影響を受けてウイーンですばらしい芸術作品を残しているからです。そのようなことで、ジャポニスムとは、ヨーロッパの世界をキリスト教化される以前の世界に戻す作用があったのではないでしょうか。そしてドイツでは、キリスト教化される以前の世界、つまりそれはアーリア・ゲルマン人の汎神論の世界の復活のような気がします。

◆ 追記 ◆
 
 ペトラ・ケリー『希望のために戦う』
 ㌻308『13. 原子力施設による健康被害とがん登録』より


『・・・あなたは、国際放射線防護委員会の勧告をご存じですか。放射線防護委員会の説明によると、最大許容線量は、住民への被害の可能性が、我慢しうる程度に縮小されるように定められなければならないということです。それ以上に詳しく定義されていない被害の「我慢しうる程度」とは、すなわち、現実にある不具、白血病と癌疾患、遺伝障害などを届けるかどうかの決定は、結局、経済を考慮してなされるということなのです。

 将来の原子力計画に対する、いわゆる受け入れる余地が、このようにして確保されてゆくとすれば、それは極めて反道徳的なことです。低線量でガンが生じる危険は、私たちが以前に考えていたよりはるかに大きいのです。放射・原子エネルギーのいわゆる平和利用による人工源から追加されてゆく放射線被害の増加は、たとえこの過程が、ごくゆっくり進むに過ぎないとしても、非常にゆゆしきこと(B・ラウスキー教授)です。

 原子力発電所では、危険な核分裂生成物が生み出されるので、放射線によって環境が危険にさらされることは、地球規模の問題になるのです。核による大惨事はひとまず措くとしても、放射能汚染は、慢性的に環境を危険にするという質のもので、その際、どんな小さな病原でも、遺伝障害によって、幾世代に渡って影響を与えることがありうるのです。』



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◆ 上記にある引用文は、1980年代にドイツで生まれた緑の党の草創期の代表者の一人であったペトラ・ケリーがドイツの伝統ある政党である社会民主党の指導者であった下段の写真であるヴィリー・ブラントに宛てた公開状の中に示されている低線量被曝の問題について述べられているものです。すでに80年代初頭には、原発による低線量被曝の問題意識が緑の党によって指摘されていました。

◆ しかし、今この内容を読んでみると福島原発事故の日本政府が、私たち日本国民に対して取っている姿そのものが経済を優先した反道徳的なことを政府が中心となって国の行政機関が先頭にたって、反道徳的なことを行っているということが、はっきりとわかります。すでに80年代初頭には、低線量被曝の危険が指摘されて、国際放射線防護委員会の勧告に従うことは反道徳的なことであり、その勧告は地球規模の放射能汚染と病気と遺伝子疾患が幾世代に渡っても継続されることを指摘して、国際放射線防護委員会の勧告に対して厳しく批判していることがわかります。そしてこのような反原発の姿勢が、その後の欧州緑の党の中に核として流れているように思えます。

◆ しかし、どうして今頃になって過去の緑の党の政治家ペトラ・ケリーを持ちだすのかといいますと、実は今回の福島原発事故を通して、欧州放射線リスク委員会のことを始めて知りました。この欧州放射線リスク委員会は、IAEA(国際原子力機関)よりの国際放射線防護委員会と異なり、欧州放射線リスク委員会は、市民側に立って低線量被曝・内部被曝の危険を警告しており、原発推進派であるIAEAの代理人ではないからです。

◆ そこで欧州放射線リスク委員会のバックグランドを調べてみると、これが欧州緑の党であるということがわかってきました。つまり、欧州緑の党の配下にある組織が欧州放射線リスク委員会であるということです。そしてその欧州での緑の党の始まりは、ドイツで反核・反・原発の主張を掲げるペトラ・ケリーなどの指導者によって始まった思想が、欧州各国に広がり、それがヨーロッパ共同体の政治機構に合わせるような形で、各国の緑の党が連合となり、欧州緑の党が形成されて、その欧州緑の党の決議で創られた組織が、欧州放射線リスク委員会であるということです。

◆ 1980年代初頭にドイツで作られたエコロジー政党が各国に広がりそれが連合となり、それが欧州緑の党として組織として成長をして、欧州共同体という政治機構の中で、今まで小さかった一国に始まった緑の党が連合を組んでいるという姿には、大変に驚くべきものがあると思います。

◆ そしてその中に反核・反原発の精神が生きていて、IAEAやその代理団体である国際放射線防護委員会の見解に異議を唱えて、内部被曝の危険性を主張している姿は、世界保健機関や国際赤十字社にもないものであり、ペトラ・ケリーがドイツで始めて緑の党の指導者となって、その種が社会にまかれてから、緑の党と言う植物の種から芽が出てきたのだと思います。


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◆ そして欧州の政治機構の中で、いろいろと問題はあるにしても、内部被曝の問題を深く指摘していることには、広島・長崎の世界で唯一の被曝国・日本の社会の中では、そのような政治勢力が育たないということは、どのようなことなのか、私たち日本人にとっては大変考えさせられることであり、これまでの経過を見ると、ペトラ・ケリーがいなかったら、緑の党が今日まで欧州共同体の中で育たなかったのではないかのと思えてくるのです。(ちなみにペトラ・ケリーは欧州共同体であるECの研究職員だった。)

◆ またベラルーシで心臓の内部被曝疾患を指摘したことで、政府に拘束されて禁固刑となり拘束されていた病理学者のユーリ・バンダジェフスキーに対して、欧州のパスポートを用意して出国させて内部被曝の研究の援助をしてきたのもこの欧州緑の党であったのですから。そのようなことで、現在の福島原発事故後にあって、この欧州放射線リスク委員会の背景を見てゆくと、あの時代にドイツに緑の党が生まれて、ペトラ・ケリーによって歩みだしたことは、大変に意味のあることであったとどうしても思えてくるのです。それでは私たちの住む日本では・・・とどうしても思ってしまうのです。


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プロフィール

水と木の精霊の守り人

Author:水と木の精霊の守り人
 浮世絵の中に描かれている宗教・歴史・信仰・民俗学・古典などに深い関心があり、『精霊の守り人』のファンです。また、浮世絵の影響を受けたフランス印象派やジャポニスムに関心を持っています。
( Impressionnistesとは、正しい翻訳では、印象派と訳すのではなく、フランスの浮世絵師と訳すのが正しい翻訳であるそうです )
特に浮世絵の研究者でもあり、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士のファンの一人です。博士の講演の中で、ジャポニスムとは、日本趣味ではなく正しくは、~イズム(ism)とはその人の生き方・精神を顕わして日本趣味ではなく、日本主義と訳すのが正しい翻訳であるそうです。また内部被曝問題に関心があります。日本GAP・アダムスキーやオムネク・オネクに関心を持っています。

◆ このファンサイトの主旨
 
 このファンサイトは、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士の個人的・非公式非公認ファンサイトです。これまで博士の芸術論講座や講演会に筆者が参加して、個人的に主観的に思ったこと考えたことが書かれています。ですから客観的な公式・公認の情報ではありません。

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