五井野正 博士ファン倶楽部  浮世絵と印象派を通して学ぶ自然世界

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五井野正博士『ジャポニスムとは、日本主義である。』              傾城見立八景 (和八景・ 田子之浦 ) 丸海老屋内 江門


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( 歌川国安画・文政期の見立八景の田子の浦と彦根屏風の中の山水画を比較する)

◆ 上記上段の浮世絵は、歌川国安の傾城見立八景です。キセルを持つ花魁の背景にある風景画(山水画)は、和の八景と言うことで田子の浦の風景が描かれています。そしてその景勝地に合わせて花魁の姿が描かれているのですが、もしかしたら桃源郷に住む『仙女』と言う意味を込めているのかもしれません。

◆ もともと、この『八景』と言う概念は、中国の山水画の世界を顕す景勝地の様式のようです。下記は博物館ディクショナリーからの引用文ですが、簡単に解説されていますので掲載したいと思います。

◆ 『 皆さんは、瀟湘八景(「しょうしょうはっけい」と読みます)という山水図の画題を知っていますか?「近江八景や金沢八景ならどこかで聞いたことがあるので、もしかするとその親戚かもしれない」と考えた人は、きっと豊かな想像力の持ち主です。

◆ 実は近江八景も金沢八景も、この瀦湘八景になぞらえて生み出されたものだからです。ですから、親戚というよりはむしろ本家本元、元祖と呼んだ方がより正解に近いといえましょう。

◆ 瀟湘とは中国の湖南省を流れるふたつの河の名前(瀟水(しょうすい)・湘水(しょうすい))に基づく地名で、これらが合流して洞庭湖という大きな湖にそそぐ地域をこう呼んでいます。

◆ 中国有数の景勝地として名高いこの瀟湘の地は古くからさまざまな神話や伝説に育まれ、数多くの詩人や画家たちが訪れました。美しい場所を一目見たいという欲望は、いつの世も変わるものではありません。

◆ 北宋時代(11世紀)に活躍した画家・宋廸(そうてき)もそんなひとりだったのですが、彼はそこで八通りの景観:景色を選び絵画化しました。これが瀟湘八景のはじまりです。残念なことに宋廸が描いた瀟湘八景図は遺っていませんが、史料によると、彼が選んだ景観は次のようなものでした。

◆ 市のにぎわい(山市晴嵐(さんしせいらん))、遠く海上を帆船が行き交うさま(遠浦帰帆(えんぽきはん))、のどかな漁村の光景(漁村夕照(ぎょそんせきしょう))、ひっそりとした山あいの寺の鐘がゴーンと鳴るところ(遠寺晩鐘(えんじばんしょう))

◆ しとしとと降る夜の雨(瀟湘夜雨(しょうしょうやう))、湖上に浮かぶ月(洞庭秋月(どうていしゅうげつ))、砂浜に雁が舞い降りるところ(平沙落雁(へいさらくがん))、山に雪が降り積もるさま(江天暮雪(こうてんぼせつ))

◆ どれも私たちの心に染み込んでくるような風情のあるものばかりですが、ここで面白いのは八景の選び方です。どの景観も四季や晴雨などの気象、昼や夜などの時刻の違いを強く意識して選んでいることに気づかれるでしょう。以下略』( 博物館ディクショナリーより )

◆ 以上が、山水画の景観の様式となった瀟湘( しょうしょう )八景の由来の説明ですが、いろいろと検索してゆくと、中国の桃源郷の伝説も、この二つの川が注いでいる瀟湘八景の地域である大きな湖水である洞庭湖の地域にあるようなのです。或いはその瀟河・湘河の二つの河の源流にあるのかもしれません。恐らく瀟湘八景を風水で調べてゆくといろいろなことがわかってくると思うのですが、今回はそれは省きますが、桃源郷と言う道教的世界観の由来も、この景勝地の中から生まれてきているようなのです。

◆ このような考えてゆくと、下段の『彦根屏風』の中に描かれている遊郭の中の遊女と遊客が囲碁をして戯れている背後に置かれている『山水画』も、単なる山水画ではなく、山水画の屏風を置くことによって、遊郭の世界を道教的な桃源郷の世界に見立てているのがわかると思います。

◆ これは島原遊郭の世界の揚屋文化などを見るとよくわかるのですが、遊郭の中の揚屋と言う遊客が遊女と宴会や茶会をする施設には、必ず山水画や山水画を顕す庭園が三つ以上ないと遊郭の中の揚屋としては認可されないという仕来りがあったようなのです。つまり遊郭とは、単純に売春をする場所ということではなく、文化的には道教的な桃源郷の思想の影響を受けていて、その遊郭の中に山水世界が顕されていたということです。 

◆ ところが、江戸の吉原遊郭のような場合には、このような揚屋文化がなく(途中でなくなってしまった。)、その山水世界は別な形で遊郭の中に入ることになるようです。それは盆栽などのように山水画の世界をミニチュアにした世界が、遊郭の中に入って植木職人の業者が遊郭に出入りするようになります。そのようなことで、遊郭の花魁の浮世絵の中には、必ず鑑賞用の盆栽が描かれているようなものが多いと聞きます。

◆ このように考えてゆくと、上段の歌川国安の傾城見立八景の田子の浦の和の景勝地は、ある意味では、彦根屏風の中の遊郭の中に置かれている山水画の世界が、田子の浦の山水画に変化したものであり、それは中国の瀟湘の洞庭湖地域に起源を持つ桃源郷の世界を見立てたものと考えることができると思われるのです。

◆ そのように見立てるのであれば、丸海老屋内の江門と言う花魁は、花魁であるけれども、それは和の桃源郷の仙女ですよということを顕しているのかもしれません。その人物の背景に描かれている絵画は、その人物の性格や来歴を説明していると考えるのであれば、江門とは、富士の田子の浦や美保の松原などの世界から来た仙女という意味合いを、この花魁の浮世絵の世界に道教的意味付けしているのかもしれません。もちろん、あくまでも個人的推測にすぎませんが・・・・

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水と木の精霊の守り人

Author:水と木の精霊の守り人
 浮世絵の中に描かれている宗教・歴史・信仰・民俗学・古典などに深い関心があり、『精霊の守り人』のファンです。また、浮世絵の影響を受けたフランス印象派やジャポニスムに関心を持っています。
( Impressionnistesとは、正しい翻訳では、印象派と訳すのではなく、フランスの浮世絵師と訳すのが正しい翻訳であるそうです )
特に浮世絵の研究者でもあり、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士のファンの一人です。博士の講演の中で、ジャポニスムとは、日本趣味ではなく正しくは、~イズム(ism)とはその人の生き方・精神を顕わして日本趣味ではなく、日本主義と訳すのが正しい翻訳であるそうです。また内部被曝問題に関心があります。日本GAP・アダムスキーやオムネク・オネクに関心を持っています。

◆ このファンサイトの主旨
 
 このファンサイトは、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士の個人的・非公式非公認ファンサイトです。これまで博士の芸術論講座や講演会に筆者が参加して、個人的に主観的に思ったこと考えたことが書かれています。ですから客観的な公式・公認の情報ではありません。

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