五井野正 博士ファン倶楽部  浮世絵と印象派を通して学ぶ自然世界

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実在する娼婦『オランピア』を描いて非難された                    マネを擁護した友人の文学者ゾラの肖像画

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◆ 上記二枚の絵画は、エドゥアール・マネの描いた『オランピア』『エミール・ゾラの肖像画』になります。これまで何回か、五井野正博士の芸術論講座の中で、マネの『オランピア』の絵については説明がありました。(上記オランピアの動画は、【美の巨匠】からです。)

◆ それは現在の私たちの感覚からすると普通の女性の裸体の絵を描いているとしか思えないのですが、19世紀のフランスのキリスト教倫理がまだ生きている社会の中では、この絵は大きな波紋を投げかけた絵であったのです。

◆ それは、当時の絵画を描くカトリックのキリスト教倫理の社会では、絵画で裸体を描く場合には、ギリシャ神話の女神の世界や聖書の世界でなければ認められず、現実の社会の中に実在する娼婦を、そのまま描くことは認められていなかったのです。

◆ またそれは、キリスト教倫理の世界では、パリなどの街中に立つ娼婦は、魔女のような扱いを受けて人権が認められていなかったのです。それは娼婦を魔女と見なす社会的背景には、恐らく魔女狩りの歴史のような側面がまだ残っていたのかもしれません。

◆ そのような中でエドゥアール・マネは、日本から来た浮世絵の花魁の世界を見て、欧羅巴のカトリックのキリスト教倫理社会の世界では、魔女の扱いとされてしまう娼婦であっても、日本では、その娼婦に対する文化的宗教的意味づけが違い、娼婦は、原罪を持つイブでも悪魔に仕える魔女ではないと気付いたのかもしれないのです。

◆ 日本では娼婦も娼婦としても、欧羅巴のカトリック世界と意味づけと違い、絵画のモデルになって美しく描かれていることを知り、その日本と同じようにフランスのカトリック社会の中で、日本人と同じ感覚で、人間的存在として実在する娼婦をモデルに絵を描き発表をしたのが『オランピア』という絵なのです。(モネもラ・ジャポネーズの絵として同じような視点で描いています。)

◆ つまり、ローマカトリック教会の価値観の感覚では、自然の山々は、魔物が住む世界であり、それと同じように娼婦は、悪魔に仕える魔女の化身であって、ギリシャ神話や聖書の世界以外のものは、絵画のテーマとして認められず、そのような倫理感覚のカトリック社会と日本の浮世絵の世界に顕されている自然や娼婦に対する倫理感覚は、全然違うものであったのです。

◆ 日本では、娼婦は娼婦としても、花魁は娼婦的側面があるにしても、単なる娼婦ではなく技芸歌舞に優れた芸能的或いは巫女的霊感的な聖なる側面があったのです。そして娼婦は、魔物ではなく、日本の浮世絵の世界ではまったく別の文化的な意味づけがあったのです。

◆ そして、マネの知人の作家のエミール・ゾラも、日本の浮世絵の世界の中に顕されている人生観、自然観、社会観、宗教観そして娼婦に対する文化的意味づけについて大きな影響を受けていて、ゾラ自身もゴッホやロートレックのようにジャポニスム・日本主義者であったのです。


◆ ゾラは、マネが絵画の世界で表現したことを、小説の世界で行ったような気がします。何故なら、ゾラは『娼婦ナナ』と言う高級娼婦の小説を描いているからです。娼婦が小説のテーマとなる。絵画の世界で言えば、ロートレックの世界です。


◆ またこのマネが描いたエミール・ゾラの肖像画の背景には、ゾラ自身がどのようなバックグランドやキャラクターの人物であるのかを示すために、ゴッホの描いたタンギー爺さんの肖像画のように、数枚の絵を描き込むことによって、見る人にエミール・ゾラがどのような人物であるのか示唆をしているのです。

◆ たとえば、右上にはマネの描いた『オランピア』の絵が描き込まれています。またその隣には、日本の力士のような絵が描かれています。そして左側には、日本の花鳥図が描かれています。マネは、このような日本の浮世絵やオランピアを描くことによって、エミール・ゾラが日本主義者であるということを見るものに示唆しているのです。

◆ 特にオランピアの隣に力士を描いているのですから、ゾラはマネの立場を強く押していることを意味しているのかもしれません。そしてこのように肖像画の背景に、その肖像画の人物の内面性を顕す絵を描き込むことによって、その人物像について、背景の絵を通して見るものにメッセージや示唆を与えているのです。

◆ そして下段は、 『ゾラの生涯』と言うDVDです。残念ながら『オランピア』の絵画の騒動の処は、描かれていませんが、ゾラが印象派の画家セザンヌとパリで貧しい同居生活をしていた処から始まり、居酒屋での娼婦ナナとの出会いの場面から、ナナの身の上話や他の娼婦の悲劇の末路の話などを小説として出版して成功する話です。

◆ また後半は、ドレフェス事件を扱っています。ドレフェス事件では、ゾラは、当時の軍部や首相や司法・裁判所や扇動された民衆の暴力など、たとえ社会全体を敵に回しても、イギリスに亡命しても、真実を明らかにして、えん罪のための個人の悲劇の境遇を助けるために人権擁護のために戦う正義の作家の姿として描かれています。
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水と木の精霊の守り人

Author:水と木の精霊の守り人
 浮世絵の中に描かれている宗教・歴史・信仰・民俗学・古典などに深い関心があり、『精霊の守り人』のファンです。また、浮世絵の影響を受けたフランス印象派やジャポニスムに関心を持っています。
( Impressionnistesとは、正しい翻訳では、印象派と訳すのではなく、フランスの浮世絵師と訳すのが正しい翻訳であるそうです )
特に浮世絵の研究者でもあり、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士のファンの一人です。博士の講演の中で、ジャポニスムとは、日本趣味ではなく正しくは、~イズム(ism)とはその人の生き方・精神を顕わして日本趣味ではなく、日本主義と訳すのが正しい翻訳であるそうです。また内部被曝問題に関心があります。日本GAP・アダムスキーやオムネク・オネクに関心を持っています。

◆ このファンサイトの主旨
 
 このファンサイトは、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士の個人的・非公式非公認ファンサイトです。これまで博士の芸術論講座や講演会に筆者が参加して、個人的に主観的に思ったこと考えたことが書かれています。ですから客観的な公式・公認の情報ではありません。

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