五井野正 博士ファン倶楽部  浮世絵と印象派を通して学ぶ自然世界

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五井野正博士『ザ・フナイ8月号』を読んで思ったこと。                                                                  ロシア文化と日本文化の共有世界 ・これってロシア人は、江戸時代人の感覚を持っている。

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(上段二つは、井筒俊彦著・ロシア的人間 下段二枚の写真は ロシアの有名な映画作家アンドレイ・タルコフスキー・ノスタルジア)

 ロシア的人間より

◆ 『 過去、数世紀にわたって、西ヨーロッパの知性的文化人にとっては、原初的自然からの遊離は、何ら自己喪失を意味しなかった。逆にそれは、人間の自己確立を意味した。本源的に非合理な自然の混沌を一歩ずつ征服して、次第に明るい光りと理性の秩序に転じて行くこと、そこにこそ、人間の本分が在るのではないか。
  
 ロシア人はそれとは違う。彼らにとっては、原初的自然性からの離脱は、直ちに自己喪失を意味し、人間失格 を意味する。ロシア人はロシアの自然、自然の黒土と血のつながりがある。それがなければ、もうロシア人ではないのだ。西欧的文化に対するロシア人の根強い反発はそこからくる。

 文化の必要性を人一倍敏感に感じ、文化を熱望しながら、しかも同時にそれを憎悪し、それに反逆せずにはいられない。この態度はロシア独特のものである。・・・・つまりロシアにおいては、自然と人間とのつながりが存在の深層に根ざしているのだ。 』


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( 上記の画像は、タルコフスキーの【鏡】の作品より、【鏡】の作品の中には、美しいロシアの緑の森や平原の姿が映像として表現されています。ロシア人がロシアの自然と深い繋がりがあるということは、タルコフスキーの作品を見ることによって五感を通してよくわかってきます。)

◆  上記は、井筒俊彦著『ロシア的人間』の冒頭の前書きの中に記述されている文章なのですが、この文章は、端的にロシア人の文化的な性格を示していると思います。そしてこれを読んだ人は感覚的に、ロシア人って日本人の自然に対する感覚と似ていると思うことでしょうし、この感覚は現代の日本人と言うよりも、江戸時代人に似ている感覚なのです。事実、ロシアにおいては日本の江戸時代の松尾芭蕉などの俳句などの古典文学が人気があって、それはロシアの芸術家に影響を与えています。

◆ 次に下段の二枚の写真は、ロシアの有名な映画監督であるアンドレイ・タルコフスキーの映画作品『ノスタルジア』のカット写真です。タルコフスキーは、ロシアでジャポニスムの影響をもっとも大きく受けている芸術家であり、浮世絵のコレクターでした。そして日本の黒沢明映画監督と交流を持っていて、黒沢明の後期の作品である『夢』の中に出てくる古里のいなかの小川の水の流れる描写は、タルコフスキーの『惑星ソラリス』の影響を受けていることがわかります。

◆ 私は、ロシア文学・ロシア芸術・ロシア正教には全然、関心がなかったのですが、相当以前に映画雑誌『ぴあ』が発刊されていた頃、ぴあの中に下段のロシア風ログハウスを背景に犬と佇む男性の映画広告の写真を見て人目見て、その映像の虜になってしまったのです。そして銀座の映画館で『ノスタルジア』の作品を見て大きな感動を受けたのが、ロシアびいきの始まりとなりました。

◆ この一番下の映像写真を見ても感じると思うのですが、この映像世界の中には、東洋思想の中の道教・タオの山水画の思想が顕されているのです。そして背景にある木造のロシア風ログハウスとそれを囲む箱庭のような自然の山水画の世界は、ロシア文化を著していて、その背後にそびえる石造りの柱は、実はイタリアの古いキリスト教会のものなのですがこれが、ロシア文化に対する西洋文明を顕しているのです。

◆ でもこの映像を感じる人にとっては、タオの思想がストレートに入ってくると思います。そしてこの映像を感じることができる人であれば、さきぼと話をした『ロシア的人間』の説明がよくわかることでしょう。そしてそのロシア的人間とは、日本人が福沢諭吉によって文明開化される以前の、自然と共生して生きていた江戸時代人と同じ感覚を持っている人達であると感覚的に理解できると思います。ロシア的人間或いはロシア人とは、西欧人のように自然と分離して遊離して生きることができない人々なのです。

◆ ノスタルジアの映画についての説明は、また別の機会にしたいと思いますが、このタルコフスキーの映画の中には、ロシア人の自然観のみではなく、ロシア文学に顕されているロシア雑階級インテリゲンチャーの歴史と精神そして、デカブリストの精神やロシア正教の魂が流れています。特にタルコフスキーは、『罪と罰』を書いたドストエフスキーの影響を受けています。

◆ そお言えば、『罪と罰』の世界の中にも、ロシア正教の分離派の信仰者で、聖書の勉強をしているソーニャという娼婦が出てきます。それはナザレのイエスに対するマクダラのマリアのような存在とも言えますが、同じようにタルコフスキーの作品の中の『サクリファイス』の中にも娼婦マリアがでてきます。そのようなことで、タルコフスキーは、東洋思想・道教・タオなどの山水画の世界とロシア正教と言うキリスト教世界が混じり合っている世界を映像の世界に顕しているのです。

◆ それは五井野正博士の『科学から芸術へ』の著作の中でレオナルド・ダ・ヴィンチの『モナリザ』の絵画世界の中に、東洋の山水画の世界とマクダラのマリアのキリスト教世界が混じり合い4次元世界を著しているということと同じ世界が、このタルコフスキーの世界にはあるのです。

◆ そのようなことで、ロシア的人間とは、自然と分離して生きることのできない人間ですが、そのロシア的人間が日本人と異なる処は、その東洋的自然観・タオの山水画の世界の中に、ロシア正教の世界が交わる処が文化的に大きく異なっています。端的にのべるのであれば、ロシア的人間とは、レオナルド・ダビンチが描いているモナリザの世界の4次元的世界の中に生きている人々となるのかもしれません。つまり東洋的世界観の中のキリスト教。

◆ アンドレイ・タルコフスキー(ロシア語:Андрей Арсеньевич Тарковский, アンドレイ・アルセーニエヴィチ・タルコフスキー, 英語:Andrei Arsenyevich Tarkovsky, 1932年4月4日 - 1986年12月29日)は、ソ連の映画監督である。叙情的とも言える自然描写、とりわけ「水」の象徴性を巧みに利用した独特の映像美で知られる。深い精神性を探求し、後期から晩年にかけて、人類の救済をテーマとした作品を制作・監督する。表現の自由を求めてソ連を亡命し、故郷に還ることなく、パリにて54歳で客死する。( ウィキベキアより )


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水と木の精霊の守り人

Author:水と木の精霊の守り人
 浮世絵の中に描かれている宗教・歴史・信仰・民俗学・古典などに深い関心があり、『精霊の守り人』のファンです。また、浮世絵の影響を受けたフランス印象派やジャポニスムに関心を持っています。
( Impressionnistesとは、正しい翻訳では、印象派と訳すのではなく、フランスの浮世絵師と訳すのが正しい翻訳であるそうです )
特に浮世絵の研究者でもあり、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士のファンの一人です。博士の講演の中で、ジャポニスムとは、日本趣味ではなく正しくは、~イズム(ism)とはその人の生き方・精神を顕わして日本趣味ではなく、日本主義と訳すのが正しい翻訳であるそうです。また内部被曝問題に関心があります。日本GAP・アダムスキーやオムネク・オネクに関心を持っています。

◆ このファンサイトの主旨
 
 このファンサイトは、ロシア国立芸術アカデミー名誉会員の五井野正博士の個人的・非公式非公認ファンサイトです。これまで博士の芸術論講座や講演会に筆者が参加して、個人的に主観的に思ったこと考えたことが書かれています。ですから客観的な公式・公認の情報ではありません。

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